No.5
(1)
夏の暑い頃親戚のおじいちゃんが亡くなったと連絡があり、私は旦那と一緒に通夜に出かけました。
ちょうど来ていた親戚の叔父が「お前パソコン持ってるだろう、古いパソコンを譲ってくれ」と言い出しました。
「古いパソコンはあるにはありますがもう古くて使えないですよ」と旦那が言うと「いや動けば良いんだ、動くんだろう、インターネットが使えればそれでいいんだ」と言って旦那を困らせました。
「だから古すぎてインターネットに繋がらないパソコンなんですよ」と旦那が仕方なく言うと「じゃあ、新しいパソコンに買い換えて今使ってるのを俺にくれ」と言い出しました。
私は呆れて話しを聞いていましたが旦那と叔父が一緒に安いパソコンを叔父の為に買いに行くことで話しは着いたようでした。
お金も叔父が払うと言うことで話しは無難にまとまったようで私は一安心しました。
次の日曜日に旦那は叔父と一緒にヤマダ電機に行き、一日かかってパソコンやプリンターやなにやらを買って来ました。
旦那はせっかくの休みを叔父のパソコンにつき合わされたせいでひどく不機嫌でした。
数日たって、叔父から電話があり、「パソコンは来たけれど動かない」と言います。
旦那が電話にでていろいろ指示をしましたが2時間も電話でああだこうだやっても、いっこうにラチがあきませんでした。
結局旦那が翌日教えに行くからと、電話を切りました。
翌日は一応パソコンを立ち上がるようにして、簡単な操作をできるようにして旦那は帰ってきました。
(2)
しばらくして、相談したいことがあると、叔父が来ました。
「大学時代の友達が一流企業に勤めていて、それは優秀な男で」と盛んに褒めちぎります。
話しがなかなか始まらないので、「相談というのは何ですか」と旦那が聞くと、
「その男がちょっと会社で失敗をしてね、いや失敗したのは、下請け会社で彼の責任ではないんだが、銀行のシステムが稼働のあと、数日だけうまく動かない部分があってね、いや、結局それで退社することになって」
「それでパソコンのソフトを作る会社を設立することになったんだが、どうだろう、僕に会社の発起人になって、出資をするように頼まれたんだが、会社の将来性というか、僕にはコンピュータのことは分からないから」と話しを切り出されました。
旦那は、「パソコンのソフトの会社ならいっぱいあるし、仕事さえ取れればそこそこにはもうかる仕事ですから、会社を始める人も多いですよ」と説明しました。
「すると、いや話しを聞いて良かった、これからもいろいろご相談したいことがありますが、協力していただけますか」と言われました。
旦那は、「ああ、いいですよ、分かることでしたら相談には乗りますよ」と答えました。
数日たって会社を設立するという本人の村上さんが訪ねてくると「会社の資本金を集めているのだが、お宅の御主人には大変お世話になったので、ぜひ出資していただきたい」
「出資していただければ、将来は株式を上場すれば、10倍にも20倍にも儲かります、出資は特にお世話になったかたにお礼をするためにお願いしてるので、それに将来はご主人にも重役になていただきたいと思っております、ご主人は本当に優秀な方で、我が社にきていただければもう大変役立つ方です」と言われました。
夜寝る前に旦那に相談すると、「そんな金どこにあるんだ、あるんなら出してもいいが、ない物は出せないだろう」と言います。
私は旦那が将来リストラされても重役にしてもらえると思いヘソクリで50万を用意して、出資することにしました。
1ヶ月ほどたって、また村上さんがくると、小さな紙切れを出して、「これにサインして欲しいのでお願いします」と言いました。
「会社の設立に必要な書類で、出資なさる方にはみなサインしていただいてます」と言われてそうゆうものかと思って、私はすぐにサインしました。
(3)
3ヶ月ほどたって、ドアのチャイムが鳴り、見知らぬ男が立っていました。
「600万を支払っていただきたい」といきなり言われました。
私は急に金を払えと言われて何とことか分かりませんでした。
変な人だと思って「内は間に合ってます」と言ってドアを閉めようとしました。
しかし男はドアに足を挟んで玄関から出ようとはしませんでした。
「私どもは手形の取り立てを行っておりまして、ちゃんとした商売をしております」
「お客様は手形に裏書きをなさっておりますので、不渡りの場合はお客様がお支払いいただくことになりますが、残念ですが、この手形は不渡りですので、お客様が600万お支払いいただくことになります」
「これはもう法律できっちりと決められていることでございまして、お支払いいただけなければ、裁判で差し押さえということになりますので」と言って男は帰っていきました。
私は大学の時の友達に電話して、手形ってなんだと聞きました。
すると「手形の裏書きしたのか」と聞かれました。
「裏書きか何かしらないけど、なんか小さな紙の裏に名前書いたけどそれのこと」と聞いてみると。
「当たり前だそれが裏書きってやつだ、裏書きは保証人の契約でね、サインしたら手形が不渡りになったら支払いしないといけないんだ」
「私はそんなこときいてないけど」と私が言うと、「裏書きは本人が知ってようが、知ってなかろうと、サインすれば有効なんだ法律でそうなってるから」と言われました。
取り立ての男は毎日同じ時間に来ると、同じ話しを繰り返すと、帰っていきました。
そして、毎日毎日、居る時間が長くなりました。
私はいつも遊びに来るに麗美さんに相談してみました。
すると、そうゆう事なら慣れてる人がいるからと友達の男性を紹介してくれました。
男は、取り立て人と交渉して600万の借金を300万に棒引きさせてくれました。
そして、300万のお金を借りる業者を紹介してくれました。
私はこれで取り立ての男がもうこなくなり一安心だと思いました。
しかしすぐに自分が馬鹿なことをしてしまったと分かりました。
手形の取り立ての時は利息は法定利息だけでしたが、こんど借りたお金はそれよりも利息は数倍の金額でした。
しばらくしてまた取り立ての男が家に来るようになりました。
手形の取り立ての時は一応はサラリーマン風の落ち着いた感じの男で怒鳴りつけるような事はありませんでしたが、こんど来るようになった男は雰囲気も悪くて脅すような口調で取り立てをしてきました。
私は男が来るたびに、怖くて心臓が小さく縮んで足が震えました。
3ヶ月ほどたっと、借金は500万になっていました。
このままほっておくと、どんどん増えるだけだと言われました。
麗美さんにまた相談してみると「どう利息だけでも払ったほうがいいんじゃないの、いいアルバイトがあるの」
「ねえ、知り合いに小説家の先生がいるんだけどね、弟子にしてもらったらどうかしら、私から頼んであげるから、弟子と言っても身の回りの世話をするだけだから、部屋の掃除とかしたりお茶入れたりとかね」と言われて私は麗美さんの好意に甘えることにしました。
麗美さんに案内されて、広い庭のある屋敷にあんないされると小説家の先生がちょうど玄関に迎えに出てきた所でした。
先生に案内されて客間に通されると、「じゃあこれ着てもらおうか」とエプロンが用意してありました。
広げてみるとレースのフリルが一杯着いた白のかわいらしいエプロンでした。
私はひとまずお金になる仕事にありつけたので一安心しました。
スカートの上にエプロンを着けようとすると、「そうじゃなくて、違うんだよ、裸になって、エプロンだけ着るんだ、ちゃんと言ってあるだろう」と言われました。
私はあわてて麗美さんの方を見ると「あれ、言わなかったかしら、お金になる仕事だから、そのくらいはしてもらわないと」と言い出しました。
私は確かに高いお金をもらうにはこのくらいはしないと納得しました。
言われた通りにしないとお金はもらえないので私は服を脱いでエプロン一枚を身につけました。
先生は満足そうに私の体をなめ回すように視線を動かしてから、「じゃ案内するから」と台所に連れて行かれました。
台所にはインターホンが用意してあって、「用事があれば、これで呼ぶから。なに、お茶を入れてくれとか、煙草買ってきてくれとか、そんな程度だよ、あとお昼ご飯は午後3時で、いつもは寿司だから」と簡単に説明してくれました。
私はこのくらいの事だったらお金の事も考えて先生の言うとおりにしたほうがと思いました。
「台所にいてもすることがないだろうからこれでも読みなさい、俺が書いた本だから」と言われて数冊の文庫本を渡されました。
ひとまずお茶でも飲みながら本をめくってみると、内容はかなりエッチな小説で、人妻が寿司の出前の店員にレイプされたりとか、危ない話しばかりでした。
どうもこれは、お手伝いの女性にエッチなことをさせてはそれをネタに小説を書いているように思えて、私は心配になってきました。
夕方になって来客があり、客間にお茶を持ってくるように言われました。
「もちろん裸にエプロン姿のまま持ってくるんだ、分かってるのか、分かってるなら、承知致しましたご主人様、と言うんだ」と言われて私はやっぱり自分が小説のネタにされるに違いないと思えてきました。
「はい、承知いたしました、ご主人様、すぐにお届け致します」とインターホンで答えてみると先生は「それでいいんだ、よく分かってるじゃないか」と満足そうでした。
客間のドアを開けて中に入ろうとして来客の顔を見ると私は足がすくんでしまいました。
まだ大学に入ったばかりくらいの年頃の女子大生が二人、応接セットのソファーに座っていました。
二人の様子ではどうやら私の母校の文芸部の女の子達のようでした。
男性だったらまだ我慢できたのに、女の子でしかも若いピチピチの女子大生にこんな格好を見られると思うと恥ずかしくてとても耐え切れませんでした。
私はドアの側の机にお盆を置くとすぐに部屋をでて台所に戻りました。
インターホンですぐに「なにやってるんだ、お客さんに失礼だろう、ちゃんとお茶をお出しするんだ」と怒鳴り声が聞こえてきましたが、私は知らん顔をして黙り続けました。
しばらくして来客が帰ったらしく、「お茶を片づけに来なさい」とまたインターホンで指示されました。
私がエプロン姿で客間に入ると、「さっきはなんなんだ、どうゆうつもりなんだ、よくも恥をかかせてくれたな、言うとおりできないならお仕置きだ」と先生は私の両腕を捻り上げて後ろで縛り上げました。
「どうだ、一言でも逆らえると思うな、逆らったらどうなるのか教えてやる」と先生は脅すような口調で怒鳴りつけながら私のお尻を手のひらで叩き始めました。
私の身体を襲う欲望は、嵐のような激しさでした。
許されない喜びの深い淵に私の体は沈み込んで戻ることができなくなりました。
私の体は空高く放り上げられたまま、落ちることを許されずに回り続けました。
信じられない感触が私の体中に広がると、許しを請うことさえできなくなりました。
支配者に従属するのが女の宿命だと、私は心のそこから思い知らされました。
天国に放り上げられた私の体は、最後の瞬間を求めて宙を舞い続けました。
支配者の剣は私の体を責め続けると、ようやく最後の一撃で私を打ち砕ました。